ご挨拶

一般財団法人
国際情報化協力センター
理事長 新野 隆
 近年コンピュータや通信リソースが飛躍的に増大し、インターネットが日常生活に大きく浸透することに伴い、急速に拡大するサイバー空間が、実空間との融合で今までになかった新しい価値を生み出しつつあります。ビッグデータ、IoT、AI、5G、ブロックチェーンといった新たなデジタル技術の進展は、我が国の社会経済構造、国民生活に大きな革新をもたらしています。

 ITを利活用することで様々な社会課題を解決し、Society 5.0の実現やSDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指すデジタル化の潮流は、新興国を含む世界全体で大きな流れとなり、ASEAN等のアジア各国においても、デジタル化は社会経済の発展に向けた重要な位置づけにあります。各国において、社会インフラの整備、行政の効率化・透明化、金融システムの整備、医療福祉の向上等の様々な課題を一足飛びに解決していくためのデジタル化政策が立案されております。

 こうした中、2019年末から発生した新型コロナウィルス感染症の急速な拡大は、世界中の社会経済活動に多大な影響を及ぼしています。程度の差はあるものの、各国において人の移動を大きく制限する対応が行われた結果、遠隔教育、遠隔医療、テレワーク等これまで実空間で行われてきた活動に、サイバー空間を大きく活用する動きが急速に進展しました。パンデミックへの対応を契機に、世界中でデジタルトランスフォーメーションの加速が急務となっています。

 これまで我が国は、その優れた技術・ノウハウを最大限に生かして、世界の様々なインフラ需要に積極的に取り組み、各国の社会課題の解決のためのITシステムの国際展開を目指してきております。各国の持つ多様性、経験、能力等を積極的に活かしながら、各国のニーズを踏まえた課題解決に取り組むことは、相手国の社会経済発展と我が国IT産業の躍進の双方に大きな価値があります。

 当財団は、1983年の設立以来、各国情報化推進における官民の結節点として事業を推進しており、経済産業省をはじめとする関係省庁、関係諸機関、賛助会員企業等のご協力、ご支援をいただきながら、アジアを中心とした各国の情報化に関する情報収集・提供、IT利活用推進への支援協力、情報化に関する国際交流事業等に取り組んで参りました。これら様々な事業活動を通じて、緊密かつ友好的な組織的・人的ネットワークが培われており、各国において高い知名度と大きな信頼を得ております。

 今後とも、情報化協力事業を通じて、相手国の経済社会発展に協力していくとともに、我が国IT産業の国際展開と発展に寄与するため積極的に事業を推進して参ります。皆様の一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。