本事業は、製品の高付加価値化、生産プロセスの高度化等のための技術的課題について、我が国と現地の企業、大学等が連携し、1年間程度の短期間かつ集中的な共同研究を行うことにより、内外のニーズに応えた産業の競争力強化、さらにはアジアの発展途上国産業の構造改善を通じた自立的発展に資するものです。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募による平成12年度研究協力助成事業「アジア経済構造改革促進研究協力」として実施いたしました。
背景・目的
シンガポールはコンピュータ化された港湾システムにより、輸出入企業や船会社へ高付加価値のサービスを提供しており、その為マレーシアへ輸出入される海上貨物の約4割はシンガポール港扱いとなってしまっている。マレーシア政府は、同国製品の競争力強化策の一環として、マレーシア扱いの貨物取扱量増加を図るために、港湾及び物流システムの近代化を要望しているが、現状では港湾管理のコンピュータシステムを独自で研究開発するノウハウ、技術力が足りない。当事業は、日本で研究開発したコンテナヤード管理システムのノウハウを利用する事により、コンテナヤードでの効率的なコンテナマネージメントシステムを研究開発する。当事業は、実証ユーザーであるKNを通して、マレーシア港湾及び物流会社による高付加価値サービス提供を実現し、国際競争力の強化に貢献する。
実施機関
2000年6月1日~2001年3月31日
共同研究コンソーシアムの構成メンバー
日本側
① (財)国際情報化協力センター (CICC)
② (株)日立製作所 (略称:日立)
現地側(マレイシア)
① Kontena Nasional Berhad (略称:KN)
② SIRIM Berhad (略称:SIRIM)
事業概要
KNの要望により、今回はコンテナヤード(パダマラン地区)での空コンテナ管理システム高度化の研究開発を実施する。日本側はCICCが研究開発全体の取り纏めを行い、日立がIT分野におけるシステムの開発とコンサルテーションを提供し、日本側、現地側で必要な機材調達を実施する。また、日立は横浜港本牧埠頭でのコンテナヤード管理のノウハウをもとに開発したアプリケーションソフトウェア Container Terminal Operation System (略称CTOP)をベースに、ゲートオペレーション、ヤードオペレーション、コンテナ管理の各業務コンサルテーションを提供する。 更に、本年2月末に終了したJICAのAISDELプロジェクト *1)にて開発したプロトタイプを活用してSIRIMと、コンテナ位置決定計画システムの共同実証研究を行う。本システム研究開発後は、船舶プラニング、ヤードオペレーション、ゲートオペレーション、ドキュメンテーション等へも研究開発範囲を拡大する予定。また、KNの他サイトへもシステム適用を拡大し、最終的にはクラン港全体、その他のマレイシアの港湾(ペナン、ジョホール等)へ適用する計画。
*1) AISDEL(AI System Development Laboratory)プロジェクト: 1995年3月~2000年2月に実施されたJICAのプロジェクト方式による人工知能システム開発技術移転。SIRIMが実施機関。CICCが協力。
実施体制
共同コンソーシアムの組織図